情動はこうしてつくられる──脳の隠れた働きと構成主義的情動理論

  • 紀伊國屋書店 (2019年10月31日発売)
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感想 : 26
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 情動についていかに多くの人が誤解しているのかということを思い知らされる一冊である。多くの人がこの本を読んで正しい知識を身につけることをオススメしたくなる。
 内容としては情動は予め備わってはおらず、身体予算管理能力に基づいて形作られるものとしている。喜怒哀楽等の情動が脳に最初からある訳ではない。
 喜怒哀楽は言語により規定されているものであり生得的にはないことを世界各地の民族に対する研究から明らかにしている。というか、その研究においてミスリードした内容が流布していたといった方が正しいかもしれない。犬猫にいたっては情動はないだろうと断じているが犬猫を飼う人から相当反感を受けそうだがたぶん筆者が正しい。笑
 情動は生まれてから身体の動作を行ったことを感覚器を通じてフィードバックとして受けた時に身体予算が枯渇せずに潤沢にあり続けるように調整し続ける結果として生じるものだということだ。生存戦略としてとある身体運動をした方がご飯にありつけるということを最適化していった結果ということである。
 事例を読み進むうちに、アファメーション、アドラー心理学、ナポレオン・ヒルの成功法則、鏡の法則、引き寄せの法則などのどちらかと言うと非科学とされていたものの主張している内容と近いことに気がつく。もしかするとこれらを科学的に説明できるようになるのかもしれないと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月24日
読了日 : 2021年1月24日
本棚登録日 : 2021年1月24日

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