家事は大変って気づきましたか?

著者 :
  • 亜紀書房 (2022年9月29日発売)
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多くの家事の悩みが共通していることからわかるように、家事は家庭内の私的なことに見えるが、本当は「あるべき姿」が社会の中で規定されてしまっている。
「愛情は女性の本能だから」とかいうよくわからん理屈で、ケア労働・家事・育児を女性に押し付けてきた(労働派遣法と第三号被保険者制度)一方で男性は長時間労働ができる労働者として駆り出されてきた。というシステムが資本主義。

女性が経済的自立を望むとき、「じゃあ男性と同じように長時間労働できるよね、もちろん家事は女性の担当ね」になるのが謎で、ちょっと私たちは聞き分けのいい都合のいい存在でありすぎるよね。そこそこ働けばちゃんと生活できる社会とか、家事育児ケアワークと両立できる持続可能な働き方ができる社会にしたい。順応するのではなく、いまの社会構造を疑っていきたい。
人に生活を押し付けて担ってもらわないと回らない労働ってなんなんや。生活のための労働なはずなのに、労働に生活が侵食されてるってなんなんや。
生活も家事もケアも間違いなく面倒なことではあるが、奪われてしまっていることをむしろかわいそうに思う。

「ケアを引き受けることが弱みになる社会」であることが恥ずかしいし悲しい。長時間労働できること(=労働力になれること)が価値とされる社会なんて虚しい。

「職場は生活を支えるために働く場所で、政治は人々が暮らしやすいシステムを整えるために行われる」というのを忘れたくない。忘れない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年2月12日
読了日 : 2023年2月4日
本棚登録日 : 2022年10月22日

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