近・現代ドイツの翻訳思想を歴史的に跡づけた労作。ゲーテの『翻訳さまざま」やシュライアーマッハーの翻訳論講義をはじめ、ゲーテ時代の翻訳論が、「異化的翻訳」をキーワードに綿密に検討された後、それに対するある種の反動としての古典文献学者の翻訳論が検討される。そして、これらを背景として、ベンヤミンの『翻訳者の課題」の議論が、反神話的な『向こう見ずな思考」の産物として鮮やかに浮かび上がる。誠実な思想史的検討にもとづいて、この翻訳論の位置が、ゲオルゲ・クライストの関係も含めて見通されている点、特筆に値しよう。
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カテゴリ:
哲学
- 感想投稿日 : 2011年4月24日
- 読了日 : 2011年4月24日
- 本棚登録日 : 2011年4月24日
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