ちょっと前に民放テレビで映画「カメラを止めるな」が放送されたとき、冒頭に出演者が出てきて、予告をしていたんですが、「冒頭何分までは、よく分らないかもしれないけど、我慢してみれば、後半は必ず面白くなります。」という趣旨の発言をしていたのが気になりました。カメラではなく、視るのを止めるな、という訴え。
確かに前半に伏線が一杯張ってあって、分かりにくかったり不自然だったりして、それが後半で回収されていくのが面白さの映画なので、後半まで視てもらわないと、な映画ではありますが、しかし作り手自ら「我慢」って、という違和感。そう、youtubeをはじめとした動画を見慣れた世代は、だらだら退屈な部分はすっ飛ばして、ハイライト、オチだけ見るというのが普通の感覚で、それができないテレビのリアルタイム放送はまさに、「我慢」でしかないんだなと改めて思いました。
さて、本書、巻頭の表に載ってるだけで、40人近くの登場人物が出てくる上に、次々と場面転換してく複雑な構成。群集劇というか、ホテルグランド方式というか、全ての伏線がある一つのイベント会場に集約していくこの気持ちよさは先の動画視聴スタイルでは決して味わえません。たまにはじっくり時間をかけて、「我慢して」、そういう体験をしてみるのも良いのでは。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説(ミステリィ)
- 感想投稿日 : 2019年3月23日
- 読了日 : 2019年3月23日
- 本棚登録日 : 2019年3月16日
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