予備校講師らしく、簡潔でわかりやすい良書。歴史を記憶教科だと言うような学生がいたら、こういう本を読んでほしい。
ただ、たとえば最後のアベノミクスのインフレ政策とデフレ政策の同居を批判するようなところとか、詰めが甘いというか舌足らずだ。私が解釈するに、アベノミクスは金融緩和による資産効果で日本列島を暖めておいて、消費税増税のショックを吸収しようとするものなので、このポリシーミックスに矛盾はない。しかし公共投資と増税の組合せは所得の再配分を意味し、かつ古い自民党の復活という政治的な批判も伴うので、相当なアカウンタビリティを備える必要がある。
更に足許を見るに、復興需要にオリンピックが重なり、資材高騰に人手不足と、典型的なクラウディングアウトに陥りつつある。つまり、サプライサイドに眼を凝らす時期がきているということだ。
これだけのことを誤解を恐れず簡単に言い切ってしまうところに、この本の人気の理由があるのだろう。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
歴史
- 感想投稿日 : 2014年9月21日
- 読了日 : 2014年9月21日
- 本棚登録日 : 2014年9月21日
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