日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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  • 東洋経済新報社 (2014年12月12日発売)
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マルクスがあってピケティがあるのではない。彼は、マルクスを読んだことが無いと言っている。しかし、マルクスの教えが死んだ世界だからこそピケティが現れたことは間違いない。資本主義の成長の成果が比較的平等に分配されていた時代は、戦争を挟む数十年に限られる。レーガノミクスとサッチャリズムは資本主義の勝利を決定づけると共に、富裕層減税と市場主義によりr>gを恒常的な不等式とした。資本の利潤は経済成長率を上回る、この証明されてない不等式は、マルクスが死んでからの三十年を雄弁に語っているように見えるから、不思議だ。
この本はr>gがピケティのエッセンスであることを教える入門書。その短いエッセンスの中にアベノミクス批判が混入していたりするのは舌足らずの感が否めない。持論を展開するのであれば、このようにピケティの紹介本という形ではなく、ピケティ派の考え方を日本経済に適用するなどとして、堂々と述べるのが良いだろう。

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感想投稿日 : 2015年2月8日
読了日 : 2015年2月6日
本棚登録日 : 2015年2月6日

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