マルクスがあってピケティがあるのではない。彼は、マルクスを読んだことが無いと言っている。しかし、マルクスの教えが死んだ世界だからこそピケティが現れたことは間違いない。資本主義の成長の成果が比較的平等に分配されていた時代は、戦争を挟む数十年に限られる。レーガノミクスとサッチャリズムは資本主義の勝利を決定づけると共に、富裕層減税と市場主義によりr>gを恒常的な不等式とした。資本の利潤は経済成長率を上回る、この証明されてない不等式は、マルクスが死んでからの三十年を雄弁に語っているように見えるから、不思議だ。
この本はr>gがピケティのエッセンスであることを教える入門書。その短いエッセンスの中にアベノミクス批判が混入していたりするのは舌足らずの感が否めない。持論を展開するのであれば、このようにピケティの紹介本という形ではなく、ピケティ派の考え方を日本経済に適用するなどとして、堂々と述べるのが良いだろう。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2015年2月8日
- 読了日 : 2015年2月6日
- 本棚登録日 : 2015年2月6日
みんなの感想をみる