マクロ経済学を学ぶ (ちくま新書 65)

著者 :
  • 筑摩書房 (1996年4月20日発売)
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本棚登録 : 229
感想 : 13
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 本書は,日本銀行副総裁(本文執筆時)・岩田規久男氏によるマクロ経済学の入門書である.
 内容は,国民総生産・国内総生産・経済成長・雇用・物価・国際収支・金利・為替レートといった様々な経済変数が,如何に変動し,さらに我々の国民生活にどの様な影響を与えるのかを明らかにするとともに,これに関して政府の財政政策・金融政策が担う役割と,その効果について解説するというものであるが,本書では以上の問題を,簡単な例を多用して,図表と文章によって極めて分かりやすく述べている.
 本書の発行は1996年であるが,今日の経済的・財政的諸問題を考える上でも本書の記述で特に違和感を感じるところは無く,より一層,マクロ経済学に対しての理解を深めることができた.本書の問題点であるが,読み進むに連れて記述が専門用語だらけになるので,本書を全くの入門書と位置付ける読者(私を含めて)に混乱をきたしやすい点が挙げられる.理解の助けとなるような図が幾らか用意されていれば良かったと思うが,新書には酷な要求であろうし,この様な問題点を加味しても,本書が初学者にとって比較的受け入れやすい表現を多用し,かつ非常にコンパクトに纏められた良著であることは間違いないであろう.
 なお,本書の姉妹編として,ミクロ経済学を中心として論じた前著『経済学を学ぶ』もあるので,併せて読まれたい.

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 新書
感想投稿日 : 2013年11月2日
読了日 : 2013年10月24日
本棚登録日 : 2013年9月14日

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