人を殺すとはどういうことか: 長期LB級刑務所・殺人犯の告白

著者 :
  • 新潮社 (2009年1月1日発売)
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感想 : 53
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★はつかなかったけれど、犯罪者を見る目がついて勉強になった。本当に殺人犯が書いているのかという声もアマゾンなどではあったが、取りあえず破綻とか矛盾は感じなかった。多分同著者の他の本も読みます。

***以下抜き書き**
・ここでは心の病んだ人は、私も含め大勢いますが、その病み方は千差万別です。病気というなら覚醒剤、窃盗、強盗、殺人等どれも病気なのでしょうが、強姦と放火に限ってはそれが異質なように思えるのです。他の病がドライ系(そんなものはないのですが)だとすると、放火と強姦はウェット系のような感じです。何かじとっと沁み込んでいくみたいな感じです。
(人嫌いで人付き甲斐が下手で暗い。常に抑圧され心の中に不満を一杯抱えて上手にそれを排出できない感じ)

・受刑者の中には、ほんの一握りだけですが、反省しているということ自体に自己満足していたり、酔っている人も見られます。浅い反省や贖罪の念で、償いをしてる気になって自虐的に喋ったり事実以上に己を悪く言うのですが、じっくりその言葉と行動、そして言葉の表現の強弱を追うと自己満足、つまり反省しているんだという行為で止まっているのです。いつしか被害者や遺族への慰謝の心は霧散しているのです。

・ずっと以前にトルストイの『戦争と平和』を読んだことがありましたが、ロシアの貴族でロシア軍の将校でもあるピエールが捕虜収容所に入れられた時に幸福を知ったという記述がありました。一字一句まで正確ではないですが、幸福は自分自身の中にあり、一切の不幸は欠乏からではなく過剰からくるというようなことが書いてあったと思います。当時の私は、これが感覚として理解できず、不自由な収容所で貴族でもあるピエールがこんなことを思うのは無理があると解釈していましたが、かなり遠回りしたにせよ、今やっと分かった気がします。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 伝記・体験
感想投稿日 : 2014年11月1日
読了日 : 2014年10月31日
本棚登録日 : 2014年10月31日

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