日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土 (ちくま新書 905)

著者 :
  • 筑摩書房 (2011年5月11日発売)
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尖閣は歴史的には誰も住んでおらず琉球で領有を主張した事もない。台湾所属とする資料の方が多い。戦後から所属が決着していない。

北方四島は、ポツダム宣言・サンフランシスコ条約で基本的に主権外とされている。正確には「竹島、千島列島、歯舞群島、色丹島を除く四主要島・対馬・琉球が日本の範囲」とされている。択捉、国後が名前では上げられていないが、古くから南千島と呼ばれており、上記で名を上げられていないと主張するのは難しい。

竹島はポツダム宣言で日本領外とされているが、サンフランシスコ条約では明確に記載されていない。

つまり上記全て明確に日本領だなんて言えたものでは無い係争中のものだ。


・米国にとって日本の米軍基地全体は極めて重要である。米軍は海外米軍基地の価値を計る指標にPRV(property replacement value、財産代替価値)を使っているが、この指標に基づけば、日本の基地は全世界の約30%である。さらに米軍基地の受入国の基地支援では日本の基地は全NATO諸国の1.6倍、全世界の50%にものぼっている。普天間基地は在日米軍基地全体の1/20にも満たない。1/20がうまくいかなくて、残りの19/20をおかしくすることは、米国は絶対できない。

・尖閣諸島は安保条約の対象になる。しかし、安保条約第5条は「各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続きに従って共通の危険に対処するように行動することを宣言する」としている。
米国憲法上の規定では大統領が軍最高司令官で、戦争の際にはできる限り議会の承諾を得るようにする、となっている。
つまり、自動的に米軍が尖閣を守るために出動するとは限らない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会
感想投稿日 : 2013年2月21日
読了日 : 2013年2月21日
本棚登録日 : 2013年2月21日

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