霊山と日本人 (講談社学術文庫)

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  • 講談社 (2016年2月11日発売)
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感想 : 2
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日本の宗教は、山や森の信仰がもとになって来た。日本での山岳信仰の姿を霊山の特徴や儀礼などを人々の生活と結びつけて考えて見ていくのが今回の本だ。




日本人にとって山は、山菜、鉱物資源などを恵んでもらえるありがたい場所であるとともに、生活を脅かす獣、妖怪、鬼のいる怖いところでもあった。




霊山の信仰内容について次の7つに分類している。



1.水の信仰 145(竜127、弁財天18)


2.火の信仰 137(愛宕115、秋葉22)


3.来世の信仰 67(虚空蔵34、地蔵24、阿弥陀9)


4.現世利益 78(観音57、大黒21)


5.除魔 41(不動20、荒神16、毘沙門5)


6. 御霊神66 (天神49、牛頭12、祇園5)


7.修行者の感得179  (権現107、明神67、蔵王5)




意識したことはなかったが、霊山に求めるものは様々だな。




現在では、霊山にケーブルカーで乗って参拝したり、バスに乗って参拝したりできるようになり、昔とは違った形になっている。





とは言っても、神様に祈りを捧げるのは今も昔もかわらない。




東京には行基が開基したと言われる武州御岳がある。中世は修験道場だったが、近世になると世尊寺が中心となり、運営にあたった。埼玉にある三峰山と同じく眷属の狼信仰で、関東近辺に信者を増やした。明治の神仏分離以降は、武蔵御嶽神社となって今に至る。





ペットの犬を連れて参拝に訪れる人々がいる。時代の変化に対応して生き残っている。




これから霊山がどのようになっていくのか興味がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月28日
読了日 : 2022年8月28日
本棚登録日 : 2022年8月28日

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