サカモトである。
教授である。
彼の曲が好きだ。私の知っている範囲で。
押し付けがましくなく、こじつけ感がなく、無理矢理感がない。
川のように自然に流れる音の連続は、なんとなくモーツァルトのメロディ-ラインにも通じているような気がする。
人に阿ることなく、純粋に音のつながりを楽しんでいる感じなのだ。
彼に降りてくる音楽の天使は、他の天使とは格が違う、というのが自分の中での彼のイメージ。
あくまで、私の知っている範囲の教授のイメージである。
そんな教授の独り言が聴けるのがこの本である。
戦メリやラスト・エンペラー、ブラック・レインから生い立ち、精神科医との対談、バイト、スタジオ・ミュージシャン、YMO。
とりとめも無く語られるエピソードには、それぞれに彼自身の想いが込められていて、それがflowして文字として連なっていく。徐々に連なりが拡がっていき、やがて世界を形作り始め、気がつくとサカモトという宇宙の一部を覗きこんでいる。
いや、もちろんそんな大仰な本ではないけれど、教授の曲が好きなら楽しめる筈。
タイトルが秀逸。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
文芸
- 感想投稿日 : 2012年6月2日
- 読了日 : 2012年6月2日
- 本棚登録日 : 2012年6月2日
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