死を見つめる美術史 (isの本)

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  • ポーラ文化研究所 (1999年10月1日発売)
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美術史、とあるが、詩や文芸を多く取り上げており、特に西洋の、キリスト教での「死の語られ方」を扱った本と言える。ですます調の文体がやや読みづらく、テーマが広いため、つまみ食い感がある。
興味深かったのは、第2章「腐敗」。14世期後半から16世期にかけて、「トランジ」と呼ばれる墓像が造られたという。これは死後の腐敗を表した気味の悪い裸体像である。生前の虚飾を告白し、自らさらしものになることでキリスト教的精神に適うらしい。仏教の九相図とは少し違うか。
14世期後半のペストのパンデミックにより、ヨーロッパでは死が非常に身近になり、メメント・モリ(死を思え)が強く意識された。当然、美術のテーマにも影響を与えた。翻って、今般のコロナ禍は美術史、文学史にどのような爪痕を残すのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年7月23日
読了日 : 2020年7月23日
本棚登録日 : 2020年7月23日

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