グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた (新潮文庫 つ 31-1)

著者 :
  • 新潮社 (2013年3月28日発売)
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本棚登録 : 289
感想 : 38

ここ1年ほど、ソニーのWalkmanを愛用している。ポータブルミュージックプレイヤーの私の遍歴は、東芝だったり、ケンウッドだったりで、もっともポピュラーと思われる林檎のマークはなぜか避けてきた。嫌いというわけではないのだけれどなんとなくである。まあハードロックやメタルを流した時にちゃんと重低音が効いていればなんでもいいのだが。

それにしても最近のポータブルミュージックプレイヤーはすごいなあとしみじみ思う。液晶がもっさりしたものしかこれまで所有したことがなかったので、ビジュアル・操作性の良さにも今更驚いているのだけれど、WalkmanにはAndroidが入っていて、Wifiでネット接続もできるからアプリも入れられる。容量も大きいから家にあるCDがほとんど入ってしまう。スマートフォンはいまだ持ってないのだけれど「ほとんどスマフォみたいなものだのう(知らんけど)」と思ったりする。

辻野さんはWalkmanのソニーとAndroidのグーグルの両方に所属した人である。そんな人の半生が綴られている。

どちらかというと、ソニーでの話が多いし内容も濃い。実行力もバイタリティもある人だけれど、保守的な人から見たら空回りしているように見えることもひょっとするとあるのかもしれないなという印象を受けた。海外滞在中に突然奥さんに泣かれたとか、2ちゃんねるに悪口書かれたとか、たぶん普通の人だったらひっかからないところがなんとなく気になった。ねじれた本読みです。

しかし辻野さんの先読み能力は素晴らしい。テレビにネットワーク機能を搭載する統合イメージは、形こそ微妙に違えど、いろんなところで実現されていっているように思う。

グーグルの日本法人社長にまでなられたようだが、グーグルは合わなかったのかどうなのか3年ほどで辞められている。というよりもグーグルみたいな企業は長居するものでもないのだろうか。凄すぎるビジネスマンの感覚はなかなかわからない。

昔のソニーが、ディズニーに訴えられた時に戦ったエピソードが面白かった。ここらへんの粘り強い戦いがあったからこそ、今のような録画したりレンタルが可能な映像・音楽文化になっているのだろうと思う。気楽に音楽を持ち歩けるってよく考えると凄いことだ。

本の題名は正直なところあまりぴんとこない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス(自伝的)
感想投稿日 : 2013年6月8日
読了日 : 2013年6月8日
本棚登録日 : 2013年6月8日

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