乱世を生きる ―市場原理は嘘かもしれない (集英社新書)

著者 :
  • 集英社 (2005年11月17日発売)
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 経済は経国済民を語源とする。

 つまり、"世の中を治め、人民を救うことを意味する"言葉をECONOMICの訳語としたのだから、国が介在するという前提がある。だからこその護送船団方式であり、日本株式会社なのだ。

 そうすると内閣総理大臣は社長となり、外交先で日本国製品を売り込むと言う行為は「社長が現場に顔を出す」という見っとも無い(と現場が思う)ことになってしまう。故に日本は貿易外交に弱いのだ。


  本著はこのように「論理を逆転」させ、当たり前を考える。
 テーマは「どう生きていけばいいか判らなくなった」。

 判らなくなったから、「勝ち組」と「負け組」に二分化させて単純化させようとする。
 しかし、安易な階層化にみえるその区分も語源の通り、既に負けているという前提があり、それを認識しなくて良い者と直面しているモノに分かれているのではないだろうか。

 何に負けたのか? グローバリズムや金融ビッグバンといった経済戦争にだ。

 誰が負けたのか? 日本経済だ。

 勝ちという判定は何時覆るか判らない。
 それでも「勝ち」と判定されるのは「勝ち組」が日本経済(負け側)から脱却しているからだ。

 これを読んで三部作の第一部「わからない方法」の真意がつかめた気がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2018年11月20日
読了日 : 2010年2月15日
本棚登録日 : 2018年11月20日

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