橋本治の本は著者が考えて考えた結果が表されているのではなく、一字一字考えながら稿が進められている。
だから「あーでもない、こーでもない、ひょっとしたらそーなんじゃ?」と一緒に考えながら読むのが殆どだ。
新書シリーズでは所謂ビジネス書の領域で「あーでも、こーでも」と脳みそをこねくり回している。
大不況の中で疲弊しているのは大作家としても、同じようで「あーでもない、こーでも」とのた打ち回りながらも、キャッチーな一冊に仕上げている。
とっつき易いのは、正解なんてないという主張とは裏腹に結論めいたものが見つかるからだ。
<blockquote style="background-color:silver; padding:0.5em;">「我々はこの先どうあればいいのか?」を考えることこそが、迂遠でしんどいことであっても、この大不況を収束させる道」なのです。 179頁</blockquote>
であるからこそ、
<blockquote style="background-color:silver; padding:0.5em;">不景気の時に本を読むのは「これからどうすればいいのかな……」と考えざるをえなくなるからです。本というものは、人を立ち止らさせて考えさせるものだから、この目的にかなっているのです。236ページ</blockquote>
<blockquote style="background-color:silver; padding:0.5em;">
2008年秋以降の金融危機、経済危機というのは、実のところ「その豊かさはもう無い」を現実に示す第一歩のものだと思われるからです。 203頁</blockquote>
という前提の時代は正解なぞない。
だからこそ、どの方向に進むべきか考えるべきだというわけである。
今までとはルールが変わったということですら、理解は出来ても実感し実践することは難しい。
しかし、ゴール(目的)までも変わってしまったのだ。
野球からサッカーに変わったくらい、もしかしたら、F1に変わったくらいまるで違う”ゲーム”をプレイせざるえないのだろう。
- 感想投稿日 : 2018年11月20日
- 読了日 : 2009年7月28日
- 本棚登録日 : 2018年11月20日
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