NHKスペシャル 生活保護3兆円の衝撃

著者 :
  • 宝島社 (2012年4月14日発売)
3.73
  • (6)
  • (22)
  • (11)
  • (0)
  • (2)
本棚登録 : 145
感想 : 21

p.204「稼働層を生活保護に取り入れたのは間違いでした。リーマンショック直後には緊急避難的措置としてやむを得なかったとは思いますが、それを、その後に出た通知などで、なかば恒常的なシステムにしてしまったのは間違いです。生活保護を受給する前の仕組みとして、第二のセーフティーネットがつくられたのですが、それが機能しないまま、結局は、生活保護ですべてを受け入れているというのが実態。これは問題です。」
「だからといって、今、生活保護を受けている稼働層を追い出せというわけではない。無理矢理制度から外してしまうと、本来受けるべき人まで受けられないという状態になる。不正受給や受けなくてもいい人を厳しく審査するシステムは必要ですが、それだけではなくて、自分から進んで自立するインセンティブ(動機づけ)が、制度として必要です。いわゆるアメとムチが必要なのです」

p.212「稼働世代で生活保護を受けている人の多くは、職業訓練を受けていない人が多い。日雇い労働から生活保護にはいってきたひと、学校卒業後、派遣労働ならまだしも、アルバイトやフリーターの経験しかない人、そうした人たちかが生活保護受給者のなかに多くいるわけで、雇用する側からすれば辛い仕事しか用意できない。実際には、単純で長時間にわたる肉体労働しかないような状態にかり、業種の幅が狭すぎる。それでも働けと言って働けばいいが、特に若い人は将来にわたって働き続けなければならないから、どうしても“自分に合った仕事”というのを選びたいし、そういう意味で最低賃金は、生活保護受給者の自立を阻害するナンセンスな制度と言える」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・政治
感想投稿日 : 2019年8月2日
読了日 : 2012年5月31日
本棚登録日 : 2019年8月2日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする