内容を知っていても落涙を堪えることはむずかしい。たった一ヶ月の交流が10年の付き合いに勝ることが少なくないとわたしたちは知っているし、魚住とさちのが不器用なやり取りを交わすその姿に、細胞が流れる音を聴いたはずだ。帯に銘打たれた“シリーズ最大の衝撃”ということばには何の間違いもないが、この衝撃とやらを、読者は何度味わったことだろう。与えたかったさちの、拒絶された久留米、恐怖に負けそうになった魚住、しかと届くことばを放ったマリ、彼らを生かす料理を作り続けるサリーム。紙の上で彼らが生きていることが、衝撃だった。
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榎田ユウリ(榎田尤利)
- 感想投稿日 : 2014年12月29日
- 読了日 : 2014年12月26日
- 本棚登録日 : 2014年12月10日
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