食がわかれば世界経済がわかる (文春文庫 さ 42-3)

著者 :
  • 文藝春秋 (2008年6月10日発売)
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感想 : 18
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経済の潮流を、「食」という観点から捉え直し、
食と経済の世界史から今日のグローバリゼーションへの流れ、
今後のアジア回帰の可能性まで分かりやすく解説している名著。

大雑把な捉え方であるとは思うが、

「食は『資源』なり」とする、アングロサクソン的な発想と、
「食は『文化』なり」とする、日・中・仏・伊などの発想とを対比し、

食の歴史と経済の歴史を重ね合わせ、
また今日に繋がる工業化・産業化・グローバル化と、
日本やフランスなどの食文化への見直しなど、
示唆に富む内容だと思う。

アメリカが推し進めてきた、いわゆるグローバリゼーションが行き詰まり、
ポスト工業社会のモデルの目途が立っていない今日において、
日本がどのように国家を作っていくか、
また、モデルとなるべきはどのようなものなのか、
一考を促してくれる良書であると思う。

歴史・文化と経済を絡めているので、文章としては大ぶりかつ概論的。
また、雑学的であり、教養的な内容なので、
各論や厳密な議論をするには堪えないが、
200ページ程度の文庫本としては、十分な内容だと思う。


「グローバリゼーション」「食文化」といったキーワードに関心がある方には面白いと思われます。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済学者:榊原英資
感想投稿日 : 2011年11月13日
読了日 : 2011年11月13日
本棚登録日 : 2011年11月9日

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