ピアニスト青柳いづみこ のエッセイ集。
演奏会のパンフ用や、CDの解説、音楽雑誌への寄稿などが多数で、「ボクたちクラシックつながり―ピアニストが読む音楽マンガ」などからすると、結構かたい。が、決して嫌な硬さではなく、むしろ硬さゆえの透明さを感じる。
それはピアノという楽器そのもののようだ。
指で鍵盤を叩き、ハンマーが弦を叩いて音をだすピアノは、硬さという呪縛からは逃げられない。だから、透明度という部分を求めていく。
青柳いづみこ、はその本質を文という媒体の中で的確についてくる。
それは、彼女のピアノに対する愛しさなのだ。
同時に、音楽をするということは、愛することなのだと、伝えてくる。
彼女の兄のことを書いた「感覚指数」に、心打たれるのは、その内容は勿論のことながら、透明できらめいている極上の音楽のような世界を築いているからだ。
ドビュッシーとラベルの水の音楽のことを比較してるくだりは興味深い。
また、お酒が好きなどの人間的な部分が描かれているのも微笑ましい。そして何よりも読後に無性にピアノが聞きたくなるところが、素晴らしくいいと思う。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
邦人作者名 あ~お
- 感想投稿日 : 2010年6月23日
- 読了日 : 2010年6月23日
- 本棚登録日 : 2008年12月23日
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