歴史をみる眼 (NHKブックス)

著者 :
  • NHK出版 (1964年10月1日発売)
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本棚登録 : 56
感想 : 4
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生徒や色々な方面から「歴史を学ぶ意味ってなんですか?」と問われたとき、本著を参考にした意見を言うことがある。歴史は単純に過去の知識獲得ではなく、「未来」を見据えた学問の一形態である…といったようなことを伝えたいときに参考にさせてもらう。
 或いは、本著を紹介することでそれに替えることもある。力量不足の僕にはこの本のような理路整然とし、それでいて熱のこもった「解説」が出来ないからだ。
 本著は歴史学習、あるいは歴史研究の意味、意義について、西洋史の大家である堀米庸三さん(故人)がやわらかい口語の筆致で解説したもの。過去の「真実」を追究し、正確性を求めることの意味について堀米さん自身の研究生活や知見に裏打ちされたエピソードを交えながら解説している。これを読むと、歴史学習に向かっているものは、現在の営為が、有意義な活動だと思える。歴史に携わる職にある私などは一種の「安堵感」をえることができ、更なる追求への動機付けにもなる。そんな活力をくれる、サプリのような1冊になっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 研究関連
感想投稿日 : 2012年1月17日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年1月17日

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