運動しても痩せないのはなぜか: 代謝の最新科学が示す「それでも運動すべき理由」

  • 草思社 (2022年10月18日発売)
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 興味を持って図書館から借り出したが、タイトルからして、そもそも読む気が失せるというか、これまで何のために運動してきたのだろうと暗澹たる気持ちになる。ということで、なかなかページを繰る速度があがらなかった一冊(著者の筆致によるところも大きいとは思う)。

 主旨としては、タイトルの如し、「運動しても1日の総消費カロリーに変化はない」ということ。それが、近年の人類学的研究で明らかなになったという、その研究発表だ。ハッザ族という、アフリカでいまだに狩猟採集を行う少数民族を通じ、エネルギー摂取と代謝のメカニズムを解明した。

 解明できたのは、動物の1日の消費カロリーを正確に測定することが出来るようになったこと(「二重標識水法」という新手法らしい)、それによって、われわれ先進国に暮らす人間と、ハッザ族のような狩猟採集民、さらにはオランウータンやチンパンジーなどの類人猿の消費カロリーを測定した。その結果が、“運動しても痩せない”だ!!!(涙)

 いや、それだけが研究の成果ではないのだけど、もう、右に行ったり左に行ったり、ハッザ族とのたわいもない日常の描写に明け暮れて、ほんと、ページが進まない。 いやいや、読み手の興味がそれ以降続かない(苦笑)

 ともかく、その結論だけではなく、その研究によって導き出されるさまざまな発見も開陳されているのだが ― 例えばハッザ族には、糖尿病、肥満、高血圧と言った成人病が発症しないとか、分配と代謝率の向上で集団が生まれ抗争が勃発したとか、単なるダイエット論争に終止符を打つだけではなく、スポーツ科学や人類学についても、衝撃的な事実が述べられている。

 では、運動することは無駄なのか!?

 でもないらしいところが、さらに本書のもどかしいところ。運動してもしなくても1日の消費カロリーは変わらないとなれば、もう運動やめちゃおうかと思うが、摂取した上に、運動にも使われなかったカロリーは、不必要な「炎症」を起こし、現代病の原因になるという。余ったカロリーの使い道の際たるものが「炎症」だとか。アレルギーや関節炎、動脈疾患のほか、さまざまな「現代病」の原因となっているのだそうな。
 故に、運動すれば、余ったカロリーが消費され、ムダな炎症が抑えられる。つまり、健康が維持される。

 要するに、喰ったら走れ!ということだ。
 ・・・ いや、その前に、もう少し食べる量減らせよ、ってことなのかもしれない。

 つか、読まなくても分かってる話か、それって!? 
(いやいや、こうした研究がなされ、科学的に証明されたというありがたい書なのだ)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自然
感想投稿日 : 2022年12月15日
読了日 : 2022年12月14日
本棚登録日 : 2022年12月13日

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