この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡 (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2013年10月25日発売)
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2017年5月5日読了

367ページ

先日読了した「リーダーの本義」で根本博陸軍中将を知り、その生き様と本義を貫いた人生に感動。ベースとなった本書を是非読んで根本博中将をもっと知りたいと思った。

1945年8月15日、駐蒙軍司令官だった根本は玉音放送に続いて、管轄する地区全域にマイクを取り放送を始める。
普通であれば玉音放送=無条件降伏=武装解除なのだが、それではここで暮らす人々の安全が守れないと判断し、人々が無事にこの地を離れるまでソ連と徹底抗戦を支持する。

これは戦争犯罪になってもおかしくなく、死刑になっても文句は言えない判断である。
しかし、根本は以前所属していた部署でソ連のことを知ってったためここで武装解除するとひどい目にあうと判断したのである。

この事実は私は知らず、ソ連参戦から敗走に敗走を重ねた関東軍の満州に居た人々は略奪、レイプ、虐殺と恐ろしい目にあったのは山崎豊子の「大地の子」でも知り、残留孤児問題などを巻き起こしたが、根本の管轄していた中蒙地区では最後の一人が列車に乗るまで日本陸軍がソ連と戦い、人々を守ったのである。

これは根本だけの力でできたことではなく、避難させるにあたりソ連でも共産党でもなく、蔣介石の国民軍に敵ながら力になってもらい実現できた。

根本は蔣介石率いる国民軍の支援で無事帰国できたのだが、中共内戦で国民軍が劣勢になり、最後の決戦が近いと知ると密航して台湾に渡り、蔣介石を支援し金門決戦を軍事顧問として支援し、見事な勝利をもたらすのである。

金門島の決戦に勝ったとしても、共産党が中華人民共和国の建国を宣言しており、蔣介石の勝利にならないのは明らかだが、昔の恩義に応えるべく台湾に渡るのである。

本書では中蒙から、帰国〜台湾への密航、金門決戦が丁寧な取材に基づいて描かれており、しかし、根本無くしては勝てなかった金門決戦だが、台湾の歴史には根本は一切出てこない。

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感想投稿日 : 2017年5月6日
読了日 : 2017年5月5日
本棚登録日 : 2017年4月30日

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