照葉狂言 (岩波文庫 緑 27-8)

著者 :
  • 岩波書店 (1948年11月30日発売)
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感想 : 3
4

再読。手元にある鏡花の文庫の中でいちばん古くて、というのもずっと絶版だったから入手した20年ほど前ですら古書店で、昔ながらの岩波文庫のパラフィン紙が巻いてあるやつでした。久しぶりに手に取ったらさすがにパリパリになって崩れちゃったのでパラフィン紙は捨てちゃった(残念)

閑話休題。比較的初期の作品のせいか、主人公が少年のせいかとても初々しい。幼児の頃からモテモテの貢くん、すでに母をなくし伯母さんに育てられているけれど、そんなところが母性本能をくすぐるのか、近所の人妻、お姉さん、お手伝いさんから芝居一座の姉さんたちにまで無闇やたらと可愛がられる。

いろいろあって最終的に、近所の優しいお雪お姉さんか、自分を引き取ってくれた芝居一座の小親(こちか)姉さんかを選ばなくてはならなくなるのだけど、このあたりはいかにも鏡花得意の義理人情で、どっちの女性も魅力的、どちらを選ぶのも身を切られる想い・・・というジタバタするような切なさ。

女たちがどういうつもりで幼児の貢さんを可愛がっているのか、年齢差がどうなってるのかはちょっとモヤっとするのだけど、ある意味少女マンガ的三角関係。素直に読めて美しい。

解説は里見とん。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ○泉鏡花
感想投稿日 : 2016年3月9日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年8月14日

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