饗宴 (岩波文庫 青 601-3)

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「コーラン」を読み終わったので哲学書再読キャンペーンを勝手に開催(といっても数冊)まずはやっぱり『饗宴』。最初に読んだのは澁澤龍彦にかぶれていた18~20代の頃だったと思う。澁澤龍彦のエッセイのどれかに『饗宴』の中でアリストファネスが語る「愛慕の説」について言及したものがあって(両性具有関係だったかな~もう覚えてないや)それで興味を持って読んだのでした。当時、うまくいえないけどなんていうか、目からウロコみたいな気持ちにさせられる説だったなあ。

簡単に言うと、もとは完全体(球体で手脚それぞれ4本づつ)だった人間が神の怒りに触れて真っ二つにされたのが今の人間の姿、だからもう半分を探してるんだよっていう、ロマンチックさがあり。のちに映画『ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ』の中でも「The Origin Of Love(愛の起源)」として歌われていて感動したものでした。

もちろんその他の部分も興味深く読めます。饗宴というのは要するに飲み会、女子会ならぬインテリのオジサマたちが集って高尚な(?)お話をする会ではあるけど、今回のテーマは「愛(エロス)って何?」です!っていう、なんだろね、言ってること実はガールズトークと変わらないような気もちょっとしたり(笑)

しかも古代ギリシャのオジサマたちの間では異性愛より少年愛のほうが高尚とされているので、ちょいちょい腐女子みたいな発言も。現代語でBL風に訳すと「アイスキュロス先生も書いてるけど、パトロクロス×アキレウスのCP最強だよね!パトロクロスがヘクトルに殺されたから仇とるとかアキレウスの愛深すぎる~!アキレウスのほうが年下で美少年でヒゲもなかったから受なんだよね!」みたいな(※意訳すぎ)

終盤ではソクラテスの愛人であるところの美青年アルキビアデスが酔っぱらって乱入、痴話喧嘩というか惚気なのか愚痴なのか、かつてソクラテスに抱き着いて一晩過ごすも何もしてくれず、だったら逆がいいのか!?攻にまわればいいのか!?と思ったけどそれでも相手にしてくれず、ひどいと思わない!?という話になるのですが(※意訳)、つまりこれこそが「肉体ではなく精神のみの愛」「美を愛でるだけの愛」=プラトニック・ラブ!!!なのですよね。語源ですから。そういう本です(笑)というか、基本的に会話劇になってるから、小難しくなくてとても読み易いのがいいですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ★ギリシャ
感想投稿日 : 2017年3月2日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年8月3日

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