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皆川博子のファンブック!ムック本なのに単行本風の装幀で凝っている。中身は大きく分けて三部構成。一部はご本人の短篇、エッセイからのセレクトと、最新ロングインタビュー。短篇どれも好き系のえぐめのやつで嬉しい。インタビューでは現在執筆中の次回作についても言及されており、とりあえず『アルモニカ・ディアボリカ』の続編(!)新大陸アメリカに渡ったエドとクラレンスのその後、と、後はハンザ同盟についての作品が控えているとのこと。どうか100才までも生きて書き続けて欲しい。

二部は色んな作家さんやイラストレーターその他からのコメント等。合計39人かな?とにかく寄稿人数が膨大で、皆川ファンの多さを再認識。

三部は解説や分析中心。東雅夫による「皆川博子を読み解くキーワード20」、日下三蔵による「皆川博子作品ガイド」などの分析、解説のほか、二部での寄稿者他に聞いた「私の愛する皆川作品3」、今までの作品を担当した編集者からの寄稿集「編集後記」、そして作品リストとバイオグラフィーももちろん収録。

それなりに満足度は高いものの、半分以上が寄稿の類なので、他人のファンコメントよりはご本人の対談とかインタビューを増やして欲しい気はちょっとした。あとは単なる我侭だけど、長編と短編は分けて語って欲しいというか、長編については歴史的背景やキャラクター紹介的なミーハーめのコンテンツも欲しいと思ってしまう。イラスト化やコミカライズがあってもいい。全体的に真面目、な本だったので、もうちょい「ゆるめ」のコンテンツが欲しいな、と個人的には思った。

それにしても作品リストの膨大なことよ・・・。絶版本も多いので、あれも読みたいこれも読みたいがほとんど入手できないジレンマもあり。ここ数年の再評価、ブームもあることだし、もっとどしどし復刊してくれたらいいのにな。

※収録
<短篇精華>
風/砂嵐/お七/廃兵院の青い薔薇/ひき潮/美しき五月に(宇野あきら画)/水引草
<随筆精華>
時代の歌/楽屋の鏡/無人島へ持っていく本『江戸語辞典』/絵と私/暗号の旅/『酩酊船』/幻想作家についての覚え書き

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ:  ○皆川博子
感想投稿日 : 2018年6月11日
読了日 : 2018年6月9日
本棚登録日 : 2018年5月25日

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