主人公のデ・ゼッサントは今風に言うと、デカダンというよりはむしろ引き蘢りの帝王といった趣きで(笑)金に明かして理想の住処を構築し、本と妄想に埋もれて余生を暮らすという、同じ引き蘢り体質の人間としては非常に羨ましい限りの環境。衒学的だなと思うのはデ・ゼッサントがというよりむしろ、彼の趣味はそのまま作者のユイスマンスの趣味だからでしょう。訳注だけで、本文の5分の1くらいはあるのじゃないかしら(苦笑)。なんにせよ、この主人公の引き蘢りデカダンっぷりは、どこかしら滑稽でもある反面、羨ましくもあったりする。100年たっても、人間の思考パターンって大差ないんだね…。
読書状況:読み終わった
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★フランス 他
- 感想投稿日 : 2012年8月29日
- 読了日 : 2002年7月
- 本棚登録日 : 2012年8月3日
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