以前、岩波文庫の古い訳の新アラビア夜話を読んだら抄訳で全然わからなかったので、古典新訳文庫で読み直すことに。なぜか二部から手をつけてしまったのだけど、まあ基本短編集なので問題なし。とはいえこちらの収録作はとくにアラビア感はなく。おもに冒険譚…ですかねえ。以下ざっくりあらすじ備忘録。
「臨海楼綺譚」放浪を好む主人公が学生時代の旧友の臨海楼近くに久々に立ち寄ったところ、怪しい事態が。どうやら旧友は、何者かから逃げ回っている父娘を匿っており、その娘に惚れこんでいるらしい。主人公もこの娘に恋してしまい、しかも両想いに。恋のライバルとなった二人はしかし娘を守るために一時的に休戦。その父を追ってきた組織と対峙するが…。
「その夜の宿」主人公はフランソワ・ヴィヨン。泥棒詩人が偶然一夜の宿を求めて立ち寄った家で騎士の老人と対話する。
「マレトロワの殿の扉」ある晩、道に迷った主人公は、見知らぬ家の扉の中に入り込んでしまい出してもらえなくなる。その家の主人マレトロワは、可愛がっている姪の恋の相手をとっつかまえて結婚させようとしていたのだが、つまり人違い。このマレトロワ、狂人としか思えず、別人と分かってもなお主人公を姪と結婚させようとする。幸いにもこの姪が美人で性格もよく主人公の男気に惚れ、結果ハッピーエンドながらちょっとモヤモヤ(笑)
「天意とギター」旅芸人(?)の夫婦が、ある町で全然歓迎されず泊まる宿もなく野宿しようとしていたが、偶然知り合ったやはり野宿の青年と共に、ある画家夫婦の家に泊めてもらうことに。この夫婦は喧嘩中だったが、旅芸人夫婦は二人を若いさせようとし…。オチはまあほのぼの。
※収録
臨海楼綺譚/その夜の宿/マレトロワの殿の扉/天意とギター
- 感想投稿日 : 2022年7月29日
- 読了日 : 2022年7月29日
- 本棚登録日 : 2022年7月22日
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