タイトルにひかれ手に取った一冊。古典を味わい尽くす十分な知識を持っているわけではないのですが、「エロ」から万葉集を読み解くというコンセプトに惹かれました。
確かにエロい要素が詰まった歌がたくさんあるのですね。また多くの歌が掲載されていることの効用として、古典における語句の使い方で頻出するケースがあることがわかり、学生時代にこういった数をこなす勉強をしていれば古典に対する成績ももう少し違ったものになったのではないかと思いました。また万葉集の時代には「ひらがな」が存在しておらずすべて(音を当てた)漢字で表記されていたんですね、これも学校の教科書を読むだけではわからなかった発見です(もしかしたら習っていたかもしれませんが…)。
それにしてもそれぞれの歌を読んで想うのは、現代との生活環境の違いからくる男女間のコミュニケーションのあり方についてです。携帯やスマホはなく、お互いの住まいを訪れるため移動するにしても効率的な交通手段もない時代、ちょっとした意志疎通にもそれは相当な時間、というか日数を要したわけです。それゆえ「逢う」ということ自体がもつ意味が現代とはまったく違っていたのでしょう。また自然光を中心とした暮らしですから、「夜」の暗さが現代とは段違いなはず、当然エロな営みにおいても”暗さ”が支配するなかでのことだったでしょう。
そう考えるとこの時代にあっては現代より格段な想像力が育まれ、またそれを駆使した生活が営まれていたのではないか、そんなふうに想えるのです。
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- 感想投稿日 : 2020年1月7日
- 読了日 : 2020年1月6日
- 本棚登録日 : 2020年1月6日
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