ヒーリイが登場し、何よりスーザン・シルヴァマンが登場する。この後のシリーズを読んできた読者としては、スーザンとの出会いも2人の距離が近づく過程も「そうでしたかそうでしたか」という感じだが、改めてスーザンと出会い直してみると、なんだか面倒でかつ嫌な奴、という感触。スペンサーの理解者であり、批評家でもあり、裏切る事でスペンサーを成長させ、スペンサーをスペンサーたらしめる存在になっていくことが予想されるような説得力はない。スペンサーはまるでそれが運命であったようにスーザンに惹かれるが、それが何故か、スーザンがスペンサーに惹かれるのが何故か、今はわからない。香山ニ三郎の解説によると、パーカーの妻が投影されたキャラクターだとの事なので、パーカー的には必然(必要?)だったのだろう。
シリーズを最初に読んでいた頃を思い出すと、そういえば僕はスーザンというキャラクターに惹かれたことがあまりない。ホークとの、時にはクワークらを加えた仲間たちとの関係性において好ましく感じていたが、それも「スペンサーがスーザンを愛しているから」という理由に過ぎない気がする。
再びシリーズを通して読んでみてどう感じるのか楽しみ。
この本に限った感想としては、最初の誘拐があまりに不自然で、そのままなんとなく本物偽物曖昧なまま唐突に黒幕が現れるなど、伏線の貼り方やや稚拙に思える。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2024年4月30日
- 読了日 : 2024年4月30日
- 本棚登録日 : 2024年4月30日
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