ぐっちーさん 日本経済ここだけの話

著者 :
  • 朝日新聞出版 (2013年7月5日発売)
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感想 : 11
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長らく欧米金融機関で投資業務をされてきた、この本の著者の山口氏による三冊目の本です。一冊目からずっと読んでいます、この本では金融関係の視点から日本経済の強みを解説しています。

日本の強みを明言している人に、私が読む方では、日下公人・増田悦佐・三橋貴明氏がいますが、この本の著者の山口氏もその中に入ると思います。特に、メディアや評論家がウソつきだらけ、という第一章は「やはり」という印象を持ってしまいました。

今後は、日本経済が破綻するという極端な意見の本も読みつつ、日本の実力を自分なりに把握していきたいです。

以下は気になったポイントです。

・遠回りだけれど、結局最も手っ取り早い方法は、ある程度の知識をもった上で、「これはウソだな」とか「ちょっとおかしいな」という鑑識眼・選球眼を身につけることが大事(p7)

・約束はした、しかしその約束を実行することは約束していない、とうのはナチスドイツがドイツ国民に発したメッセージ、消費税についてこれと同様なのが民主党政権であった(p20)

・アメリカ全体の自動車保有台数が2.5億台なので、アメリカにおける 1000万台とは、自動車保有者が25年間に一度乗り換えることで達成可能、1000万台を切ることの深刻さが理解できる情報が合わせて必要(p23)

・国の債務はGDP比で見ること自体無意味、対外借り入れの比率がキーポイント、過去に破綻した国はその比率が50%以上、日本は95%が国内調達(p24)

・経済の専門家からみた新聞の3大嘘は、1)円高悪玉、2)財政破綻(通過最強、金利最低なのに)、3)格差拡大(格差よりもやる気が問題)である(p27)

・2010年の貿易黒字は 6.7兆円で、輸出額は67兆円、バブル景気の40兆円より大きい(p36)

・東北の巨大漁業基地である、八戸・気仙沼・石巻・塩釜は、重要な港と指定されていて、日本全国の漁船が集積していた、気仙沼で被害にあった大型漁船の37隻のうち30隻が東北圏外船籍であった(p39)

・製造業53万社に対して、サービス業等の非製造業は530万社ある、売上も120:500兆である、産業の90%を占める中小企業にとって円高は海外の商品を安く手に入れられる(P41)

・日本の政府債務985兆円には、短期債も含めている、普通は外す、また政府保有財産の現在価値を差し引くが、日本はしていない、政府資産はラフに600兆円とすると、GDP比債務比率はせいぜい80%(p42)

・インフレ率を上げれば、値上がりリスクを恐れて、慌てて物を買うというのが、リフレ派の人々の考えだが、通常の感覚では、生活防衛のために預金を増やすだろう(p55)

・G20の中で放っておいても立ち直れる唯一の国はアメリカ、生産人口が向こう20年間増え続けるので(p97)

・欧州銀行はストレステストは済ませたとしているが、ギリシア国債ですら安全資産としている(p111)

・円高がどうのこのと言っている企業(パナソニック、ソニー等)は、自分のところのマネジメントが悪いのを円高のせいにしているだけ(p125)

・ヘッジファンドが国債の空売りで失敗したのは、日本ではちょっとした信用金庫が1兆円くらい預金量を持っているので、誰かが空売りすると一気に買われてしまう(p131)

・子供手当は所得に関係なく支給される、夫婦別姓、配偶者控除の廃止、高速道路の無料化、おなじことやった国は、ソ連である、民主党政権は社会主義政権であった(p147)

・MV=PT=GDP、M:貨幣供給量、V:貨幣流通速度、P:物価水準、T:取引量、物価上昇率2%(pの上昇)をしても、T(どれだけ買い物するか)、V(預金を固持:Vの低下)は国民が決定する要素(P165)

・2011.10に突然法律を変えて、中国で就業する外国人に対して、将来貰うはずもない社会保険について総収入の40%の保険料を課してきた、外貨歓迎の方針は霧散霧消した(P179)

・個人的には、絶対に貯金は取り崩さない方がよい(P207)

・中国語のすごいのは、ベトナム行っても、シンガポール、マレーシア、インドネシアでも中国語を話す人が多い、東南アジアのマーケットを見ても、中国語ができて損なことはない(P217)

・20か国を対象に、それぞれが持つ富を物的資産、人的資産、天然資産に分けて計算すると、日本はアメリカに次いで2位、中国の2.8倍の富がある、人口一人当たりでは世界一(P259)

2013年8月18日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年8月18日
読了日 : 2013年7月28日
本棚登録日 : 2013年7月27日

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