成熟脳: 脳の本番は56歳から始まる (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2017年12月25日発売)
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今56歳(令和2年11月)です、この本の著者・黒川女史の本は最近何冊か読ませてもらっていますが、この本の内容は週刊紙などに数年前に書かれたものが文庫化されたようです。

「脳の本番は56歳から始まル」という副題を見て、どうしても56歳である間に読まなければ、という思いでネットで見つけて取り寄せて読みました。

体力や視力は50を過ぎると悲しいことに老化を無視することはできません、その中で脳はこれから活動が本番を迎えるというメッセージには心づけられます。今まで走り続けてきた人生を振り返り、今後はどのように生きるべきかを考える上で、自分にとって分岐点になる今年に、この本に書かれていることを活かして人生の後半戦(本番)に向けて準備を進めていきたいと思いました。

以下は気になったポイントです。

・脳には「ある決まった動作」をすると、「その動作を繰り返してきた場面と同じ神経信号の状態を作る」という癖がある(p22)何かに挑戦する人は、挑む日のルーティンも決めておくと良い、同じ動作、同じ位置がキーワード(p23)

・女性脳の共感型対話モデルでは、共感でもって気持ちよく経過を話し尽くすことが基本系、女性は気持ちよく話を聞いてもらえさえすれば、自分で問題解決をする生き物なのである(p39)共感によって女性は脳に残る余剰なストレス信号を解く。(p45)

・人生が始まる前の10ヶ月、ともに呼吸してきた二人は大人になっても呼吸が合う、残念ながら父の胸に抱かれても、母と子の間のあんしんかんは無い(p50)

・人の骨髄液が、7年で入れ替わる。骨髄液は、免疫の中枢司令塔である。この骨髄液は毎日少しずつ入れ替わるが、7年より前の細胞が残らない。つまり、満七年経つと、厳密には今とは違う免疫システムで生きていることになる。(p121)環境に適応するための7年、つまり7年経過すると刺激だったことが刺激じゃなくなる(p122)

・49歳、ヒトは生殖のために生きてきた人生を別の人生に切り替えるのである。生殖のために生きる人生を、新たな目的の人生に切り替えてから7年目、人の脳は新たな目的に慣れて、人生の最高潮期=出力性能最大期に入る。28年を一ブロックと見立てると、84歳まで続くことになる(p125)29歳から56歳までの第二ブロックは、膨大な数の回路の中から、要らない回路をより分け、必要な回路を知るための28ねんかんである(p128)

・失敗のない人生はないが、失敗を他人のせいにする人は、その失敗を脳に反映することができない。(p129)

・50代からの語学は、何度も繰り返すことが肝要である。この時、本人の脳は「繰り返し」だと思っていない、これが50代の素晴らしいところ。50の手習いは成果を求めず、繰り返しを楽しむことを目的にしたら良い(p142)

・56歳近くになると、あらゆる成功に使われる共通の回路=成功の秘訣、が目立ち始める。30代の惑い(失敗事例の蓄積)、40代の苛立ち(成功事例が増えてくるものの周りの理解が足りない)、を乗り越えて、脳は50代に本質を知る(p143)

・本質の回路は膨大な失敗の果て、成功事例をいくつも重ねて脳に仕上げられる回路であり、人に教えられたり「一方向の成功事例」だけを恣意的に繰り返すだけでは手に入らない(p144)苦難が降りかかった時、「私には特別な才能がある、神に選ばれたに人なんだ」と思えば良い(p144)

・脳は102歳までは進化が約束されたしょうみきげんの長い装置である(p159)

・不満や怒りを溢れさせている人の話は、「そう」「そうなの」「それはひどいね」という相槌で聞く人が圧倒的に多いが、これは無意識のうちに「ソ」の触感で、相手を宥めている。優しく撫でて、クールダウンして温めて包み込む(p165)

・上質な男は、ヤ行音を使う。「良い」ヤ行音は、イから他の母音への変化で出す音韻である、脳に「長い時間をかけた感じ」「深い癒し」を同時にもたらす。「やれやれ」「よしよし」「おやおや」「そや、良かった」「やっと、きたね」(p181)

・ねぎらいや親密感を表現したかったら訓読み系(大和言葉由来)、敬意や責任感を表現したかったら音読み系(漢語由来)でと、無意識に使い分けることができる(p193)

・この世には何語であろうと、二つの対話スタイルがある。女性は主にプロセス指向共感型、男性はゴール指向問題解決型である。そして異なる対話モデルで喋ろうとすると、互いに傷つけ合うことになる(p201)

・女性がキレたら過去の総決算をしていると思った方が良い、何度謝ったかしれないが、今もう一度傷ついているので、もう一度謝るしかない(p204)これをやめさせる方法としては、キレられた時ではなく比較的幸せな時に、深い後悔として謝ること(p205)

2020年11月28日作成

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会・生活・労働
感想投稿日 : 2020年11月23日
読了日 : 2020年11月30日
本棚登録日 : 2020年11月17日

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