私は個人的には円高は日本の国力が最高だからとは思いませんが、他国(全体としてみたユーロや米国)と比較して「まし」な状態にあるという市場の判断の結果だと思っています。これは多分に、三橋氏や増田氏の影響を受けていると思うので、それと対極にある考え方を務めて把握するようにしています。
この本はそれに最適の本で、銀行でディーラー業務をされていた藤巻氏の書かれた本です。いずれ円安となる円資産のみでの資産運用では危険なので、米ドルを中心とした資産構成にすべきというのがポイントのようですが、それに至る考え方も紹介されていました。
今後10年以内にはどのような考え方が最適であったかがわかると思いますので、それらを楽しみにしながら社会人生活の後半を過ごしていきたいと思います。
以下は気になったポイントです。
・今、ドルを買うのは、日本の財政破たんに対処する保険と同じである(p21)
・規制ばかり、大きな政府、結果平等主義の税制の国は社会主義国家で、その反対が資本主義国家である、日本は社会主義国家(p22)
・円高の理由は、1)日本が社会主義的な国家である、2)日本人があまりにも海外投資をしないから(p23)
・日本で米国債を買うお金は、米国のドル金融市場から借りてきている(p29)
・財政破たんするから円安になるとも言えるし、財政破たんを回避するためにインフレになるから円安になるとも言える(p62)
・資本運用は、世界最強の国、米ドルに避難させるのが基本、余裕があれば、カナダ、オーストラリア、スイスフラン、英国ポンド
(p66)
・年寄は海外分散投資、若者は英語学習がポイント(p86)
・1480兆円の個人金融資産の2%が海外資産に移れば30兆円になり、すると金融機関が国債を買うお金がなくなる(104)
・固定相場制は経済発展には必要な仕組み、通貨が安定しないと、経済発展に必要な外国資本が入ってこない(p117)
・日本の会社はいくら円高になっても本社は残し、工場は海外移転するのでブルーカラーの人たちは仕事を失う、これが東京と地方との格差問題である(p133)
・円で運用しようが、ドルで運用し、先物のドルを売って円で確定させようが、同じ利益となるまで、ドル/円の先物レートが下がる(p202)
2012年2月5日作成
- 感想投稿日 : 2012年2月5日
- 読了日 : 2012年2月5日
- 本棚登録日 : 2012年2月5日
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