雪下に咲いた日輪と (講談社ノベルス)

著者 :
  • 講談社 (2005年3月8日発売)
3.48
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本棚登録 : 568
感想 : 52
3

ファンタジー・ミステリシリーズ第12作

読了日:2006.06.16
分 類:長編
ページ:302P
値 段:900円
発行日:2005年3月発行
出版社:講談社ノベルス
評 定:★★★+


●作品データ●
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主人公:深山木 秋他
語り口:3人称
ジャンル:オカルトファンタジー
対 象:ヤングアダルト寄り
雰囲気:ミステリ
結 末:一件落着
ブックデザイン:熊谷 博人
カバーイラスト:斉藤 昭 (Veia)
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---【100字紹介】--------------
父が購入を決めた洋館には、
悲鳴をあげながら橋のない海面を歩く妖怪がいる。
少女から調査依頼をうけた薬屋探偵達は、
かつて館主が自殺したこの館で、
奇妙な殺人事件に巻き込まれる!
ファンタジーシリーズ第12作。
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高里椎奈の「薬屋探偵」シリーズの第12作です。

今回は、久々の!ばりばりミステリ系ですよ。しかももう、豪華に(?)人がばたばたと…。途中で読むのをやめられずに、思わず読み通してしまうくらい、「次はどうなるの、どきどき☆」な気分を久々に味わいました。まあ、それほど重々しいわけでもないですし、本格らしく理詰めというほどでもないのですが、先へ先へ!と読ませてしまう何かがありました。

基本的に高里椎奈は、「キャラもの」書きさんだと思うのですが、この手の小説で、これだけ読ませれば、素晴らしいと思いますね。途中の展開の意外性も十分でした。本気で心配しちゃいましたよ。何がとは申し上げませんけど。それはありえない、でも高里椎奈なら何をやってもおかしくない、そう思わせられちゃったのが敗因ですね。トリック(?)などは、ちょっと甘めで、いかにも小説かなあ、という気がしなくもないですが、描きたいのはそこじゃないのだろうなと。

本作も、高里椎奈らしい心情描写の物語あり。前作に引き続き、親子愛という感じでしょうか。

叙述トリック的な部分に関してはあまり意外性はなし。ですが、これも「そこが描きたいんじゃない」というところかも。ここでしっかり書き込んだことにより、ひとつの「狂気」を浮かび上がらせることに成功している、とも思えるので。特に、破滅へと向かう日記などは、この「狂気」の表現としてかなり魅力的だったと思います。こういうのが描けるところが高里椎奈か…。

久々にミステリ読んだなー、という気持ちに浸れた1冊。


●菜の花の独断と偏見による評定●
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文章・描写 :★★★
展開・結末 :★★★+
キャラクタ :★★★+
独 自 性 :★★★
読 後 感 :★★★
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菜の花の一押しキャラ…深山木 秋

「君には恩がある。利用すればいい」
「そんな不審物、貸した覚えはありません」
          (高遠 三次&深山木 秋)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ライトノベル
感想投稿日 : 2009年12月27日
読了日 : 2009年12月27日
本棚登録日 : 2009年12月27日

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