殺人者はそこにいる―逃げ切れない狂気、非情の13事件 (新潮文庫)

制作 : 「新潮45」編集部 
  • 新潮社 (2002年2月28日発売)
3.46
  • (24)
  • (71)
  • (122)
  • (10)
  • (2)
本棚登録 : 691
感想 : 64
4

"人間とは、摩訶不思議な生き物だと思う。
多くの人に感動を与え幸せにする力もあるし、多くの人を恐怖に陥れ不幸にする力もある。
本書は、ノンフィクション。過去に起こった殺人事件を振り返ったもの。人間の闇の部分を見つめたもの。
解決した事件もあれば、未解決のままの事件もある。
日本の警察は優秀なのだが、限界もある。
司法でも裁けないものもある。
計り知れない、心の闇から生まれる非条理な行為に立ち向かう人たちの活躍については、淡々と添える程度の語り口。ここで語られる主人公は、犯罪を犯した(あるいは、犯罪を犯したであろう)人物。
おののく事件の数々は、小説ではなく実際に起こった出来事である。
いつも苦労、苦汁を強いられるのは、被害者とその家族。
加害者は、独自の理論、思考で自らを正当化して、存在し続ける。
本書は、どちら側の登場人物にもよい距離感で事件の顛末を淡々と語る。
同様のシリーズがいくつか続くのは、この距離感を保っているからなのだろう。"

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会学
感想投稿日 : 2018年10月28日
読了日 : 2018年10月28日
本棚登録日 : 2018年10月28日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする