孫子 (講談社文庫 か 1-1)

  • 講談社 (1974年2月1日発売)
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感想 : 10
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兵法といえば古来の軍学・兵学のことであり、具体例では孫子の兵法ともいうべき原点です。
己の興味によりかつての戦争の研究を始めた孫武。
楚の平王への復讐に燃えた伍子胥が呉の国を訪れ、孫武のもとを訪ねたことにより、孫武は在野の研究者から呉王の軍師へ転身せざるをえなくなります。
そこで実績をあげ、権力闘争に巻き込まれないうちに身を辞すわけですが、伍子胥がいたからこそ孫子の兵法というものが世の中に普及したかとも思えます。
その孫武の子孫である孫臏。
彼もまた在野にあって、龐涓が修行のために孫家を訪ねてこなかったら兵法勉学に力を入れたかどうかも疑問ですし、龐涓によって罪に陥れられ、脚を切断する刑と額に罪人の印である黥を入れる刑に処されたことによって、その才能を余すことなく発揮できたかのように感じます。

いずれにせよ、「勝って戦う」(勝利するための下準備が整い、天地人がそろったところで、勝利を確認するために戦う)が孫子兵法の基本なのでしょうね。
筆者も冒頭で書いておられましたが、孫子の兵法は兵法だけに留まらず、ビジネス社会でも応用できる人間心理であるということです。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 中国史
感想投稿日 : 2020年12月19日
読了日 : 2020年9月26日
本棚登録日 : 2020年9月26日

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