F15、F16計14機のイスラエル空軍機が、1981年6月7日、シナイ砂漠の基地を飛び立った。標的はイラクの原子炉タムーズ1号。
作戦は見事に成功する。
その陰で、一枚のスナップ写真に命を賭けた男がいた。デイブ・マンガー。
一度はカメラを捨てた天才的戦争写真家が帯びた密命とは……
デイブ・マンガーがとても魅力的なのです。
人間誰しも、心に頑丈な囲いを必要とするときは必ずあるし、でも、いつかはそれをこじ開けて現実世界に復帰しなければならない。
マンガーには7年ほどの歳月がかかりましたが、いったん囲いの外に出たマンガーはまるで別人のように内面的にも充実し、かつ、カメラマンとしての腕前も最高で、危機に瀕したイスラエルのモサドのスパイとして彼以上の人物は考えられません。
マンガーとルース、ウォールターとの関係もまた微妙で面白く、単なるスパイ小説とは言い切れない、人間の本質に踏み込んでいくストーリーです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
A.J.クイネル
- 感想投稿日 : 2019年3月29日
- 読了日 : 2020年9月26日
- 本棚登録日 : 2019年3月29日
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