「右からやってくる回転寿司を、ペリーにも味わって欲しかった。」
私たちの身の回りにあり、長く親しんできた「もの」には、開発にまつわる秘話、聞けば目からウロコの事実やエピソードがあふれている。それぞれのエキスパートへのインタビューにより明らかになる、メイドインジャパンの飽くなき探究心と底力。
「鉛筆」に始まって「醤油」や「便器」「蚊取り線香」に「ダッチワイフ」まで24品目。スーツの左胸にポケットがあるのはスーツのもとである軍服の時代に、ここに鉄板を入れて心臓を守っていた、とか、鉛筆製造の大手「三菱鉛筆」は大財閥の三菱とは無関係、なんていう小ネタも満載なのだか、なんといっても個々のものにかかわる人たちのものづくりにかける情熱と愛情には本当に頭が下がる。
幕末に黒船で来航したぺリー提督はその著者『日本遠征記』の中で手工業における日本人の器用さや好奇心から生まれる熱心な探究心について触れており、今ある先進国の機械や技術をものとしたならば、世界有数の工業国となるに違いないと予言している。ペリーの見たそれら日本人の末裔たちは150年という時を経て彼の予言を現実にしたのであるが、その原動力がひとえに日本人の「もの」に対するこの情熱と愛情に起因しているというところまでは、さすがのペリーも気づいていなかったのではないだろうか。
ペリーがもし回転寿司を食べたなら「寿司が右からやってくるのはなぜか?」って聞いたかな。ちなみに答えは……気になる方は本書にて。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2016年7月31日
- 読了日 : 2016年7月31日
- 本棚登録日 : 2016年7月31日
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