すべてはモテるためである (文庫ぎんが堂)

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  • イースト・プレス (2012年12月2日発売)
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互いの心に開いた穴を、塞ぐための方法。

過剰な自意識に苛まれる中で、いつのまにか身動きが取れなくなって、どこにも行けなくなってしまった。
キモチワルい、という言葉は、あまりに暴力的で、あまりに破壊的で、だからこそ、その言葉を恐れる心は、果てしなく大きくなっていったのだった。

モテるということは、自分のことを誰かに受け入れてもらうこと、そして、キモチワルくないよと目の前のその人に保証してもらうこと。
そうすると、モテたいという心の動きは、沢山の異性と仲良くなりたいということよりも、むしろ、ただ愛されたいという気持ちを言い換えたものに過ぎないんじゃないか。

社会学者の上野千鶴子が解説文を寄せ、哲学者の國分功一郎が対談で語り合う。
モテるためのマニュアル本に、どうして彼女/彼が興味を惹かれたのか、その疑問は、この本を読み通すうちに、きっと解けてなくなるに違いない。

「てことは「モテたい」が「恋されたい」じゃなくて「愛されたい」だと気がついた人はですね、じつは「ちゃんと他人を愛する能力」を有するのだ。
それを認めて「愛することによって自分が変わるのを、恐れない」のが、つまり「大人になる」ということじゃないだろうか。
(…)
大人だということは「もう、そんなに長い時間は残ってないんだから、なるべく他人を幸せにしよう」と考えることだ」(P.208-209)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年9月17日
読了日 : 2013年9月17日
本棚登録日 : 2013年9月17日

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