阿佐ヶ谷駅から徒歩約20分。杉並区の善福寺川が蛇行するあたり。
そこに,女ばかり四人が暮らす家がある。
牧田家は庭付きの古い洋館。
台所はリフォームしたものの,それ以外は建てたときのまま,長い年月が経っている。
刺繍作家で,家でこじんまりと刺繍教室を開いている娘の佐知。
外で働いた経験はなく,自分で稼いだこともない「箱入り娘」のまま七十代を迎えた母の鶴代。
そこに,仕事はできるけれど男の影も形もない雪乃がひょんな事で転がり込んできて,その数カ月後にストーカーとなった元カレから逃げる形で雪乃の会社の後輩の多恵美が転がり込んできて。
奇妙な形での四人での暮らしと,庭の離れで先代のころから用心棒のように暮らしている山田老人。
日常の小さな出来事,喜び,憤り,悲しみ,落胆,ていねいに読ませてくれる本です。
全くちがうタイプの四人それぞれの人生というか,女の一生の縮図を見ているみたいです。
私個人的に一番共感できるのは佐知でしょうか。
ただ,後半,ものすごく物語が動きます。ネタバレになるので書きませんが。すごいです。(語彙力)
『細雪』谷崎潤一郎へのリスペクトありきで書かれたそうですが,その『細雪』はまだ読んだことがないので,これをきっかけに読んでみたくなりました。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2020年2月21日
- 読了日 : 2020年2月21日
- 本棚登録日 : 2020年2月21日
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