19世紀末のイギリス人作家オスカー・ワイルドと、挿絵画家オーブリー・ビアズリーとの戯曲「サロメ」を巡る物語。
もともと画家たちの史実に基づいたフィクションがお得意の原田氏だが、ワイルド作の「サロメ」自身の持つ狂気性と全編に漂う奇怪的な雰囲気のために、特に本作はどこからどこまでが史実なのか全く分からない。
だがまるでこの本作自体が禁断の書であるかのように、怖いもの見たさでページを捲る手は止まらない。
もはや史実はどうでもよく、不健全で耽美的な世界観を存分に味わった。
ただ、どうせフィクションならフィクションで、オスカーに惹かれていくオーブリーの心情とか、オーブリーを裏切るオスカーの心変わりとか、メイベルの弟を思う気持ちとかをもう少し分かりやすくドラマチックに描いて欲しかったとは思う。
2017/10
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2017年10月29日
- 読了日 : 2017年10月29日
- 本棚登録日 : 2017年10月29日
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