わたしが生きた「昭和」

著者 :
  • 岩波書店 (2000年1月14日発売)
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澤地久枝 「 わたしが生きた昭和 」

昭和前史(一次大戦後の金融恐慌から二次大戦の敗戦まで)における自伝。敗戦の姿や満州国の実態を市民目線で論述している。

昭和前史の軍人が作った時代 を映したノンフィクション。時代を受け入れざるえない市民の弱さも感じる。

永井荷風のように時代と無関係に生きることが どんなに凄いことなのか実感した。


著者の結論「縁あって一つの時代を地球で生きる仲間として、どうすれば共生と平等が可能か、知恵のかぎりをつくしたい。最大かつ絶対の条件が平和である」


「昭和を考えるとき、満州をぬきににして その歴史はない。満州を含めた中国との関係が 昭和前史の基調としてある」
*中国の民族主義を刺激したのは〜日本の対華21ケ条要求
*満州を傀儡国家の理念で片付ける事はアジアの歴史が許さない
*満州は中国華北への日本の野心、中国との戦争の道を開く
*満州を理想郷とする論を肯定できないのは 食糧配給の実態を知っていたから

「歴史とは大気のようであり、海のようでもある〜自分がどこにいるのか見定めている人は稀〜目の前で進行していることの本質が見えない」

「人間的なもの、いのちの尊厳を踏みにじる社会は〜したたかな報復を受ける」

「わたしたちの苦しさは〜戦争の被害を知っている一方〜異邦の人々への責任を同時に感じるところにある」

トルストイ「戦争は 人びとがいかなる暴力行為にも参加せず、そのために被る迫害を耐え忍ぶ覚悟をしたとき、初めてやむ。それが戦争絶滅の唯一の方法である」

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2019年10月31日
読了日 : 2019年11月1日
本棚登録日 : 2019年10月31日

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