安部公房 「 榎本武揚 」
榎本武揚の史伝というより、榎本武揚の近代国家への道標という感じ
著者は 榎本武揚を賛美しているわけではないが、侍による戦争国家より、榎本武揚の目指す近代国家の方がまし という論調に読める
タイトルに反して、土方歳三ら侍たちのシーンの方が多いが、著者の目線は 異端者たる榎本武揚を捉えていて、「異端者が世界を変える」という著者の文学的テーマは一貫している
名言「士道とは節。節を全うするのは至難の業。されど節を捨てるのは、さらに至難の道」
榎本武揚と土方歳三のやりとりシーンは面白い。
*五稜郭を捨てることは、函館を捨てること。函館を捨てることは、諸外国に認めさせた我々の権益を放棄すること
*政権を相手に認めさせるには、何と言っても 経済力
*時代が変わってしまった〜侍だって ただ戦争の稽古をしているだけで、飯が食える時代でなくなった
勝海舟は、世間が勤王か佐幕かと騒いでいるときに、そのどちらでもない立場があることを〜見通し実行した
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年6月13日
- 読了日 : 2020年6月13日
- 本棚登録日 : 2020年6月10日
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