フェミニズム、ジェンダー、女性学分野で活躍してきた3人による3編の鼎談「女が老いる、ということ」「フェミニズムの時代を生きて」「フェミニズムの行方」を収録。
女3人寄ればかしましいなどと言われる。かしましいというのは、ムダ話、愚にもつかないような話でうるさいっていうような意味合いを含んでいるのだろうけど、この本はもちろん、そんなことはない。
実は対談もの、鼎談ものって中身は大したことないものも多いと思っていて、それでも対談・鼎談ものが出版されるのって、時間がないとか、書くのが面倒くさいとか、分量かせげるからとか、何となく臨場感が出るからとかって程度かなと思っている。でも、これは秀逸な鼎談本。最初は上記のようなことを思って、期待せずに読み始めたんだけど、おもしろい、おもしろい。これは文章では書かないだろうなというようなことにも話が及んでいて、会話のなかだからこそ生まれた内容だと思えるものもある。それぞれの生い立ちとか、バックボーン的なもの、数々の挫折や忸怩たる思いの積み重ねとか。
電車内の車掌さんのアナウンスを聞くたび思うんだけど、女性車掌さんのほうが声がクリアだし、舌の回りも頭の回りもいいらしく、よどみなくスムーズな言葉が聞かれる(そんなもんだと思っていたいわゆる車掌調のアナウンスが無意味だったことを思い知らされもする)。やっぱり女性のほうが言語感覚に優れているのだろうなと思わされるわけで、そういう女性たちが、かしましくならずに会話をしたとき、そこでなされる話がおもしろいのは当然だ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2012年3月10日
- 読了日 : 2012年3月6日
- 本棚登録日 : 2012年3月10日
みんなの感想をみる