安倍晋三実録

著者 :
  • 文藝春秋 (2023年6月21日発売)
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感想 : 11
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安倍くんのことが嫌いだった、っていうかいまでも……嫌いだ。何で嫌いなのかというと、もはや嫌いという思いが先行してか理由づけがちょっと難しいことに気づく。でも、モリカケや桜を見る会といった騒動を思い返すだに、また、国会での品のないヤジといい、やはり「人品卑しからぬ」とはいかない雰囲気を感じていたのではなかろうか。
新興宗教に人生を翻弄された青年の手によってという亡くなり方も自業自得という印象だけど、一方、亡くなったことでちょっと落ち着いて安倍くんのことをとらえてみようという気持ちも生まれた気がする。巷では『安倍晋三語録』が話題になっているが、ヘソ曲がりリベラルな自分としてはこちらの本を読んでみた。岩田さんと安倍くんの仲もどんな感じなのか知りたかったしね。
岩田さんというバイアスがかかって見る安倍くんではあるのだが、読んでみて思ったのは、安倍くんは安倍くんなりにちゃんと(といっていいのかと思いながら)やっていたんだなあということ。特に第二次政権にあっては驕った部分もあったが、北朝鮮の拉致問題への対応とか、地球儀を俯瞰する外交だとかには安倍くんなりの信念があったのではないか。
政治家に大切なのは思い、信念ともされる。そういう意味では安倍にそれなりの思いがあったようであり、その思いに対して真摯に活動したようにも思える。ただし、思い込みが信念を導いている感もなきにしもあらずか。
また、安倍政権には第1期と2期があり、そこは分けてとらえるべきだとも思った。第二次政権では第一次とは打って変わった強靭さがあった。ダメダメくんが克服して生まれ変わった好事例ともいえそう。
昭恵さんとの仲も政略的・戦略的なものなのかしらんと思っていたけど、家族にはやさしく、身内や関係者を遇する人だったようなので、ポーズでなく本当に晋三・昭恵カップルなりの絆があったのかも。
書中で「強か(したたか)」という言葉がよく出てくるんだけど、まあ、確かに安倍政権はこの言葉がしっくりきている感がある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年10月14日
読了日 : 2023年10月8日
本棚登録日 : 2023年10月8日

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