五重塔 (岩波文庫 緑 12-1)

著者 :
  • 岩波書店 (1994年12月16日発売)
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本棚登録 : 1230
感想 : 145

建築家の安藤忠雄さんが何かの本で触れていたのだが、最近の若い所員は全く本を読まないので、あえて事務所で働く人のために読書の時間を強制的に設けている。必読のテキストは幸田露伴の五重塔とのこと。

なるほど、現代の建築に携わる人にとって仕事に取り組む際の揺るぎない指針にふれるようなものが書かれているかと思いきや、まあとにかく冒頭から読みづらい。
もはや辞書なしでは読めない旧漢字に古い言い回し、目にすることすら少なくなった踊り字のオンパレードで、おまけに読点でダラダラと繋ぐ口上のような文体はゴツゴツしていて肝心の話が全く頭に入ってこない。
ただ単に古い本を読める教養がないだけかもしれませんが、作者の職人(大工)に対する過剰な理想と幻想も手伝ってか自分の文章に酔っている印象もあり、何度も放り投げてはけっきょく義務感だけで読み終えたけれど、小説としてはどうなんだろう。
この時代の文化資料として読むのであれば、ありではないでしょうか。

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感想投稿日 : 2022年8月23日
本棚登録日 : 2019年11月26日

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