1日中没頭せざる負えない。そのくらいイメージを途切れさせたくない一冊です。
1巻でカラマーゾフ一家のことを少し知った後、そこから展開される、人間模様。登場人物は出尽くしたか?と思っていたのですが、それは間違いでした。
新たにカラマーゾフに関わる人々がいて、その1人1人が肉厚です。つまり、レッテル付けが難しい。
カテリーナはきっとプライドが高い女性だろう(なぜならイワンとアリョーシャがそう言っているからだ)と盲信しても、その言葉正しいとは思えないのです。
作者と同じ、創作物を外から眺めている立場にあっても、彼らのセリフが真実か、それとも偽りなのかがわかりません。
これまで読んだ内容と、これから読む3〜5巻の文章から、仮説を組み立てるだけです。何しろ、アリョーシャも、イワンも、ミーチャも自分が突き動かされている行動に自覚的であっても、無自覚を覆いきれないからです。
この本人たちも気づいていない(それでいてドストエフスキーは計算ずく、かもしれない)心の機微を読み取る。
この本の価値はそこにあるのかな、と感じています。
この読み取った内容は、確証もないし、文章で明示もされません。
なので、明日覚えているためにはメモを取らないといけない。
そんな意図は無かったのに、2冊読了した時点で、B5ノートが3ページ分、メモで埋まりました。こうでもしないと、自分の考えを後追いできないからです。
本への書き込みでも、付箋でも構いませんが、頭の中によぎるちょっとした確証を書いておく。
楽しむための工夫です。
ちなみに、私が通してチェックしているポイントは次の通りです。何度も登場するモチーフなので、都度考えておくと、ドストエフスキーの考えに少し近づけるかもしれないと期待しています。
・信仰心への不審
・天使扱いされる登場人物(アリョーシャの他に3人いる)
・カラマーゾフの血筋の特徴
・妙に引用される「シラー」の役割
最後に。
2巻で登場する小学生、イリューシャのエピソードは少し涙ぐんでしまいました。
くそー、子供ネタはずるい。
- 感想投稿日 : 2021年7月4日
- 読了日 : 2021年7月4日
- 本棚登録日 : 2021年7月4日
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