信念に生きる――ネルソン・マンデラの行動哲学

  • 英治出版 (2012年9月18日発売)
4.01
  • (48)
  • (55)
  • (28)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 576
感想 : 60
5

ネルソン・マンデラの自伝執筆者である著者が、その取材の過程でマンデラに密着し、生活を共にした約三年間を振り返り、マンデラのリーダーシップの要諦をまとめあげた一冊。自伝執筆という特別な機会に投げかけられた様々な「問い」に対するマンデラの言葉はとても深く重く、それでいてどこかやさしく心に響く。

アフリカには「私たちは他者を通してのみ人間として存在する」という意味の「ウブントゥ」という概念があり、「勇敢に見える行動を取れ」や「役になりきれ」「相手の良い面を見出せ」といったマンデラの行動哲学もすべてこの考え方がベースにあるが、これらは(ステレオタイプ的にいえば)「西洋型個人主義」に基づくリーダーシップとは一線を画する。

全編を通じて感じるのは、マンデラという人物に内包された「強さ」と「弱さ」の矛盾がもたらすパワーと影響力の強さであり、その壮絶な人生で培われた揺るぎない志や死生観のようなものが背景にある一方、日々の行動に落とし込まれた「型」は、万人が受容できるまでにシンプルでもある。単なる偉人伝では済まされない、読み手の志に対する内省と行動を促す良書。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自己啓発
感想投稿日 : 2015年6月7日
読了日 : 2013年8月18日
本棚登録日 : 2015年6月7日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする