長谷川豪|考えること、建築すること、生きること (現代建築家コンセプト・シリーズ)

著者 :
制作 : メディア・デザイン研究所 
  • INAXo (2011年12月30日発売)
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感想 : 6
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建築家長谷川豪氏初の単著書。
作品集ではなく、書き下ろしのテキストと写真で構成されている。

まず、タイトルがよい。とくに、考えること、生きることがよい。
これまでこんなことを謳った建築家はあまりなかったように思う。
考えることは、建築家なら当然やっているだろうし(建築することはもっとあたりまえだが)
生きることも、当然人間ならあたりまえだからだ。わざわざ本のタイトルにはしない。
もっと自身の作風を明快に現そうとする言葉や、大義名分的なタイトルがつけられることが多いだろう。

これは、3.11以降、みなが感じていると思うけれど、あたりまえの幸せのありがたさの実感、が少しは影響しているだろうけれど、それだけではない。氏はもともとあざといことはせず、また言葉と作品のずれもすくない。
氏の作品はいつもさわやかで、直球で、でも新鮮で、ハッとする驚きがある。

そのような作品をつくるエッセンスは、氏の、スタディ模型の膨大さによるものだけでなく、スタディする以前の『考えること』が重要であったことが本書を読むと分かる。おそらく、スタディ模型よろしく、膨大な量を『考えている』に違いないのだ。

氏はまえがきで、
僕は考えることが好きだ。
と告白し、またまえがきの最後には、
・・・そうした格闘そのもの建築なのではないかと思う。考えること、建築すること、生きること、を地続きに思考するとは、たとえば、そういうことを意味している。
という。

だから、まず『考えること』である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 建築
感想投稿日 : 2012年1月5日
読了日 : 2012年1月4日
本棚登録日 : 2012年1月4日

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