夢の遠近法 山尾悠子初期作品選

著者 :
  • 国書刊行会 (2010年10月26日発売)
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本棚登録 : 397
感想 : 38
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とにかく寡作の人なので、チビリチビリ、なめるようにしながら半年くらいかけて読み終えた。
「夢の棲む街」のラストでは、情景が脳内にスローモーションで再生され、「遠近法」の“腸詰宇宙”に圧倒される。「透明族に関するエスキス」は、「デジスタ」の年間大賞を獲るような上質の短編映像を見た思い(と思ったら、作者自身による解説で、CGのようなイメージがまずあってそれを描写した、というようなことが書いてあり、納得)。

山尾悠子の作品を読むたび、こんなビジュアルを描く力が自分にもあったのかと、驚かされる。もの凄く凝った質の高いアトラクションを楽しむような感覚。その乗り物のレールを敷いたり、動かしたりしてくれるのは彼女の文で、自分はコースを進んでいくだけだけれど。それでも、これが自分の頭の中だと思うと、不思議だし、ちょっと嬉しい気分でもある。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年12月31日
読了日 : -
本棚登録日 : 2011年12月31日

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コメント 1件

猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2013/02/07

「質の高いアトラクションを楽しむような感覚」
ちょっと人を寄せ付けないような、硬質で冷たい感じが、読む時に緊張を強いられるようで。とっても刺激的です。

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