とにかく寡作の人なので、チビリチビリ、なめるようにしながら半年くらいかけて読み終えた。
「夢の棲む街」のラストでは、情景が脳内にスローモーションで再生され、「遠近法」の“腸詰宇宙”に圧倒される。「透明族に関するエスキス」は、「デジスタ」の年間大賞を獲るような上質の短編映像を見た思い(と思ったら、作者自身による解説で、CGのようなイメージがまずあってそれを描写した、というようなことが書いてあり、納得)。
山尾悠子の作品を読むたび、こんなビジュアルを描く力が自分にもあったのかと、驚かされる。もの凄く凝った質の高いアトラクションを楽しむような感覚。その乗り物のレールを敷いたり、動かしたりしてくれるのは彼女の文で、自分はコースを進んでいくだけだけれど。それでも、これが自分の頭の中だと思うと、不思議だし、ちょっと嬉しい気分でもある。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2011年12月31日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年12月31日
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コメント 1件
猫丸(nyancomaru)さんのコメント
2013/02/07