最近の若者にとって「自分以外はバカ」で、他人を見下す傾向が顕著である時代であるという。
筆者はそれを「仮想的有能感」というキーワードによって説明づけようとする。
つまり、自分の体面、自尊心を守るために、いとも簡単に周囲の人間の能力を否定するのである。
それによって本当はそうでないのに「自分は優れている」と思いたいのである。
他人との生身のコミュニケーションが少なくなった現代では
個人主義の時代になり、他人の心をくみとることができなくなっている若者が増えているというのだ。
普段生活していて、「どこか冷めた人間が多いな」と実際に感じる問題であり、非常に興味深い考察である。
しかし、この見方は学会でまだ十分に認められたものではなく、著者の主観も入っていることは否めないので、実際の自分の感じる感覚と照らし合わせつつ注意して読んだほうがよい。
著者は比較的、現代の若者ばかりを一方的に叩いているような感じを受けるが、
若者だけでなく、大人にも同じようなことは当てはまるのではないかと私は感じている。
私はこのような状況を、しつけや文化の問題以上に
「人が人を互いに傷つけあう攻撃的な社会」の産物であると考える。
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- 感想投稿日 : 2012年10月24日
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- 本棚登録日 : 2012年10月24日
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